Classici giapponesi con furigana
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さんりょうきょう
三稜鏡
佐左木 俊郎
Leggi 三稜鏡 (さんりょうきょう) di 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.347 caratteri · 42 schermate
「笠松! 笠松! 悪魔め!」
刑事達は、彼の手を掴まえようとしたが、彼はその手からするりと抜けて、叫びながら駈けて上った。
「笠松! 僕に罪を塗りつけようたって駄目だぞ! 悪党め!」
「儂は自分の罪を他人へ塗りつけようなどと思っちゃいませんがな……」
振向きながらそう云ったのは、併し、岡埜博士ではなかった。岡埜博士よりも更にしょぼしょぼと老けて、長い顎鬚が白銀色の、酷く身窄らしい老人であった。併し、身窄らしいとは云っても、何処となく気品があり、何処となく岡埜博士に似ているところがあった。
「笠松! 早く白状しろ! 早く!」
西谷青年はそう、吼え立てるようにして、なおも老人に逼った。
「西谷さん! 何も心配なさるな……」
言いながら老人は微笑をさえ含んだ。
「何も心配なさるなよ。儂が何もかもわかっているから……」
「何もかもわかっているのなら、さあ、自白して貰おう」
司法主任の警部補は老人の顔を見上げながら厳粛に促した。
「何もかも申し上げます」
司法主任の卓の前に立たされて執拗に口を噤んでいた老人が、西谷青年の顔を見ると、急に素直な態度になって来たのであった。