Classici giapponesi con furigana
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せけんし
世間師
小栗 風葉
Leggi 世間師 (せけんし) di 小栗 風葉 (おぐりふうよう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.390 caratteri · 36 schermate
そこで、私は町の中部のかなり賑かな通へ出て、どこか人にも怪まれずに、蹲むか腰掛けかする所をと探すと、ちょうど取引会所が目についた。盛んに米や雑穀の相場が立っている。広い会所の中は揉合うばかりの群衆で、相場の呼声ごとに場内は色めきたつ。中にはまた首でも縊りそうな顔をして、冷たい壁に悄り靠れている者もある。私もそういう人々と並んで、さしあたり今夜の寝る所を考えた。場内の熱狂した群衆は、私の姿など目にも留めない。
そのうちに閉場の時刻が来た。ガランガランという振鈴の音を合図に、さしも熱しきっていた群衆もゾロゾロ引挙げる。と、小使らしい半纒着の男が二人、如露と箒とで片端から掃除を始める。私の傍の青い顔の男もいつの間にかいなくなった。ガランとした広い会所の窓ガラスには、赤い夕日がキラキラ輝いたが、その光の届かぬ所はもう薄暗い。
私はまた当もなくそこを出た。するうちに、ボツボツ店明が点きだす。腹もだんだん空いてくる。例のごとく当もなく彷徨歩いていると、いつの間にか町外れへ出た。家並も小さく疎になって、どこの門ももう戸が閉っている。ドーと遠くから響いてくる音、始めは気にも留めなかったが、やがて海の音と分った。