Classici giapponesi con furigana
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ふたおもてくらべぼたん
両面競牡丹
酒井 嘉七
Leggi 両面競牡丹 (ふたおもてくらべぼたん) di 酒井 嘉七 (さかいかしち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.317 caratteri · 25 schermate
私は不思議なことがあるもの、とは考えましたものの、まさか、家の中にあったものを、警察へおとどけするのも、どうかと存じましたし、それに、あれほども高価なものとはゆめにも考えませんでしたので、箪笥の小引出しに、入れたまま、忘れるともなく、忘れていたのでございました。
こうした出来ごとがございましてから、二、三日も過ぎた頃でございましたか、何も、これほどのことを、出来ごとなぞと申すのも変でございますが、新しい、お弟子いりがあったのでございます。これが、いつもの様に、お子供衆でございましたら、別に、変わったことではないのでございますが、何分にも、相手がお年をめされた方それも、大家の御隠居さまとも、お見うけするような御仁でございましたので、私たちにいたしますれば、正しく、一つの事件には相違なかったのでございます。
それは、二、三日もの間、降りつづいた、梅雨のように、うっとうしい雨が、からりと晴れて、身も心も晴々とするような午後のことでございました。お稽古も、一と通りすみまして、ほっと、大きな息をしたところでございました。
「ごめんくださいませ」
と、いう丁重に訪れて来られた方がございました。