Classici giapponesi con furigana
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『いぶせますじせんしゅう』こうき
『井伏鱒二選集』後記
Leggi 『井伏鱒二選集』後記 (『いぶせますじせんしゅう』こうき) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.132 caratteri · 20 schermate
「手伝いましょう。どんどんお書きになってください。僕がそれを片はしから清書いたしますから。」
井伏さんも、少し元気を取り戻したようで、握り飯など召し上りながら、原稿用紙の裏にこまかい字でくしゃくしゃと書く。私はそれを一字一字、別な原稿用紙に清書する。
「ここは、どう書いたらいいものかな。」
井伏さんはときどき筆をやすめて、ひとりごとのように呟く。
「どんなところですか?」
私は井伏さんに少しでも早く書かせたいので、そんな出しゃばった質問をする。
「うん、噴火の所なんだがね。君は、噴火でどんな場合が一ばんこわいかね。」
「石が降ってくるというじゃありませんか。石の雨に当ったらかなわねえ。」
「そうかね。」
井伏さんは、浮かぬ顔をしてそう答え、即座に何やらくしゃくしゃと書き、私の方によこす。
「島山鳴動して猛火は炎々と右の火穴より噴き出だし火石を天空に吹きあげ、息をだにつく隙間もなく火石は島中へ降りそそぎ申し候。大石の雨も降りしきるなり。大なる石は虚空より唸りの風音をたて隕石のごとく速かに落下し来り直ちに男女を打ちひしぎ候。小なるものは天空たかく舞いあがり、大虚を二三日とびさまよひ候。