Classici giapponesi con furigana
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にんげんはんえい
人間繁栄
豊島 与志雄
Leggi 人間繁栄 (にんげんはんえい) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.038 caratteri · 38 schermate
その様子が可笑しかったので、静子はくすくす笑い出した。
「何です、僕のことを。」
「いえ、何でもないの。」と綾子はもう澄し返っていた。
「あのことですか、ヒポコンデリーの獅子だという……。」
「あら。」
二人は同時に足を止めた。
「僕の耳は千里耳だから何でもすぐに聞えるんだよ。でも獅子は有難いな。そのお礼に、詩人めいた素敵な名を二人につけてあげましょうか。」
「ええ、どうぞ。」
「そうだな……静子さんは水中の夢で、綾子さんは空中の夢……ってどうです。」
「水中の夢に空中の夢……。」
静子はそう繰返して微笑したが、綾子は喫驚したような眼で彼の顔を見上げた。
流れの上に渡してある低い小さな仮橋から、きらきらと水に映る月の光を見て、宿の方へ帰っていった。
月を見るなら、川向うの鏡台山に是非登ってみなくてはいけない、と旅館の人にすすめられて、洋造と綾子とは或る晩出かけた。夜の山は物騒で恐いと云って、静子は一人残ることになった。
獅子ヶ鼻を廻って大正橋にかかると、川下の方から冷々とした風が吹いてきた。妙に空気が稀薄に思える晩で、月の光が白々として、両岸の山がすぐ近くに迫って見えた。