Classici giapponesi con furigana
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にんげんはんえい
人間繁栄
豊島 与志雄
Leggi 人間繁栄 (にんげんはんえい) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.038 caratteri · 38 schermate
鉄道線路の灯が瞬いてるすぐ上方に、鏡台山一帯は真黒く魔物のように蹲っていた。
「もう止しましょうか。」
「ええ。」
長い大正橋を渡りきって、向う岸を溯って、いつもの河原に来て休んだ。仄白い河原の小石と浅瀬の水音と、月の光と、それからあちらこちらに散歩の人の姿が見えた。
「静子さんは利口ですね。実際都会のものには、夜の山登りなんか駄目ですよ。」
「それでも、静子さんはそれは月の晩が好きなんですの。私月を見てると、何だか淋しく悲しくなってきますから……。」
「月を本当に好きな人は、月を見てても淋しく感じない人かも知れません。でも可笑しいですね、静子さんよりあなたの方がずっと快活なのに……。」
「その代り、もう何もかも嫌になって、口もききたくなくなることがありますの。よく静子さんに笑われますけれど……。」
「そう云えば、静子さんくらいいつも調子の変らない人はありませんね。」
それから話は静子のことに落ちていったが、綾子はふと云い出した。
「あなたのことで私静子さんと議論しましたのよ。」
「え、私のことで……。」
尋ねられると、彼女は急に黙ってしまったが、とうとう口を開いた。