Classici giapponesi con furigana
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さはしじんごろう
佐橋甚五郎
Leggi 佐橋甚五郎 (さはしじんごろう) di Mori Ōgai (森 鴎外) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6308 caratteri · 13 schermate
と問うた。
「甚五郎は怜悧な若者で、武芸にも長けているそうな。手に合うなら、甘利を討たせい」こう言い放ったまま、家康は座を起った。
望月の夜である。甲斐の武田勝頼が甘利四郎三郎を城番に籠めた遠江国榛原郡小山の城で、月見の宴が催されている。大兵肥満の甘利は大盃を続けざまに干して、若侍どもにさまざまの芸をさせている。
「三河の水の勢いも
小山が堰けばつい折れる。
凄じいのは音ばかり」
こんな歌を歌って一座はどよめく。そのうち夜がふけたので、甘利は大勢に暇をやって、あとには新参の若衆一人を留めておいた。
「ああ。騒がしい奴らであったぞ。月のおもしろさはこれからじゃ。また笛でも吹いて聞かせい」こう言って、甘利は若衆の膝を枕にして横になった。
若衆は笛を吹く。いつも不意に所望せられるので、身を放さずに持っている笛である。夜はしだいにふけて行く。燃え下がった蝋燭の長く延びた心が、上の端は白くなり、その下は朱色になって、氷柱のように垂れた蝋が下にはうずたかく盛り上がっている。澄み切った月が、暗く濁った燭の火に打ち勝って、座敷はいちめんに青みがかった光りを浴びている。どこか近くで鳴く蟋蟀の声が、笛の音にまじって聞こえる。