Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ちゅうとう
偸盗
Leggi 偸盗 (ちゅうとう) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 48.934 caratteri · 97 schermate
有明の月のうすい光に、蕭条とした藪が、かすかにこずえをそよめかせて、凌霄花のにおいが、いよいよ濃く、甘く漂っている。時々かすかな音のするのは、竹の葉をすべる露であろう。
「生死事大。」
「無常迅速。」
「生き顔より、死に顔のほうがよいようじゃな。」
「どうやら、前よりも真人間らしい顔になった。」
猪熊の爺の死骸は、斑々たる血痕に染まりながら、こういうことばのうちに、竹と凌霄花との茂みを、次第に奥深く舁かれて行った。
九
翌日、猪熊のある家で、むごたらしく殺された女の死骸が発見された。年の若い、肥った、うつくしい女で、傷の様子では、よほどはげしく抵抗したものらしい。証拠ともなるべきものは、その死骸が口にくわえていた、朽ち葉色の水干の袖ばかりである。
また、不思議な事には、その家の婢女をしていた阿濃という女は、同じ所にいながら、薄手一つ負わなかった。この女が、検非違使庁で、調べられたところによると、だいたいこんな事があったらしい。だいたいと言うのは、阿濃が天性白痴に近いところから、それ以上要領を得る事が、むずかしかったからである。――
その夜、阿濃は、夜ふけて、ふと目をさますと、太郎次郎という兄弟のものと、沙金とが、何か声高に争っている。