Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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やつがたけのまじん

八ヶ嶽の魔神

国枝 史郎

Leggi 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.664 caratteri · 323 schermate

Aozora Bunko

それから葉之助から送って来た油紙包みの紐を切り、ついで取り出した白粉を、鼻にあてて静かに嗅いだ。

「匂いがする。変な匂いだ」そこでしばらく考えたが、「なんの匂いとも解らない」

それから立ち上がると棚へ行き、試験管を引き出した。白粉を入れて水を注ぎ、さらにその中へ入れたのは紫色をした液体であった。

で、試験管を火にあてた。

しかし何んの反応もない。

「これはいけない。ではこっちだな」

こう云うと彼は他の薬品を、改めて試験管へ注ぎ込んだ。

で、またそれを火にかけた。

やはり何んの反応もない。

北山の顔には何んとも云えない、疑惑の情が現われたが、どうやら彼ほどの蘭学医でも、白粉の性質が解らないらしい。

一二

しかし天野北山としては、解らないと云ってうっちゃることは、どうにもこの際出来難かった。

「お家騒動の張本人を、森帯刀様と仮定すると、その連累が大鳥井紋兵衛、それから大槻玄卿なる者は、日本有数の蘭学医、信州の天野か江戸の大槻かと呼ばれ、俺と並称されている。いずれここにある白粉も、その大槻が呈供して金一郎様殺しの怪事件に、役立てたものに相違あるまい。