Classici giapponesi con furigana
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ちからもち
力餅
島崎 藤村
Leggi 力餅 (ちからもち) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 65.974 caratteri · 130 schermate
橘翁さまの製薬は、部下の人たちにも内職を与え、土地のうるおいにもなるように、との願いから始めたことらしい。高瀬で造り出した奇応丸は、木曾山でとれる熊の胆を土台にして、それにシナ朝鮮のほうから来る麝香やにんじんなぞを用い、形もごく小粒な飲みいい丸薬として金粉をかけたものですが、正直な材料が使ってあるものですから小児に飲ませるにいいと言われて、だんだん諸国にひろまったもののようです。
さて、高瀬の兄の代になってみますと、この人は若い時から早く名古屋に出て、新しい教育を受けたくらいですから、漢方で造った先祖伝来の薬などを守っている時世ではないと考え、家も飛び出してしまって、東京に出ていろいろやってみたということでした。どうでしょう、この兄のいろいろな試みよりも、先祖ののこした仕事のほうが根深かったのです。古い薬はいつまでも、売れて、子孫のものがよくやって行かれるばかりでなく、薬方の番頭さんや大ぜいの小僧さんたちまでりっぱに養えるのです。高瀬の兄はいろいろやってみた末、もう一度住み慣れた屋根の下に帰ってきて、黒光りのするほど時代のついた大黒柱のわきにすわってみて、先祖のおそるべきことを知ったそうです。