Classici giapponesi con furigana
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ちくまがわのスケッチ
千曲川のスケッチ
島崎 藤村
Leggi 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 81.668 caratteri · 164 schermate
野にも、畠にも、今ではあの猛烈な雑草の蔓延しないところは無い。そして土質を荒したり、固有の草地を制服したりしつつある。
屠牛の一
上田の町はずれに屠牛場のあることは聞いていたがそれを見る機会もなしに過ぎた。丁度上田から牛肉を売りに来る男があって、その男が案内しようと言ってくれた。
正月の元日だ。新年早々屠牛を見に行くとは、随分物数寄な話だとは思ったが、しかし私の遊意は勃々として制え難いものがあった。朝早く私は上田をさして小諸の住居を出た。
小諸停車場には汽車を待つ客も少い。駅夫等は集って歌留多の遊びなぞしていた。田中まで行くと、いくらか客を加えたが、その田舎らしい小さな駅は平素より更に閑静で、停車場の内で女子供の羽子をつくさまも、汽車の窓から見えた。
初春とは言いながら、寒い黄ばんだ朝日が車窓の硝子に射し入った。窓の外は、枯々な木立もさびしく、野にある人の影もなく、ひっそりとして雪の白く残った谷々、石垣の間の桑畠、茶色な櫟の枯葉なぞが、私の眼に映った。車中にも数えるほどしか乗客がない。隅のところには古い帽子を冠り、古い外套を身に纏い赤い毛布を敷いて、まだ十二月らしい顔付しながら、さびしそうに居眠りする鉄道員もあった。