Classici giapponesi con furigana
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はんしちとりものちょう
半七捕物帳
岡本 綺堂
Leggi 半七捕物帳 (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7788 caratteri · 15 schermate
それを掛けかえるのかと見ていると、そうでもないらしかった。かれはその掛物を上の方まで巻きあげるかと思うと、手を放してばらばらと落とした。また巻きあげてまた落とした。こうしたことを幾たびも繰り返しているので、喜右衛門も終いには見かねて声をかけた。
「これ、これ、いつまでもそんなことをしていると、お掛物が損じます。はずすならば、わたくしが手伝ってあげましょう」
「黙っていろ」と、かれは振り返って睨んだ。
喜右衛門はこの時初めてかれの顔を正面から見たのである。茶坊主は左の眼ひとつであった。口は両方の耳のあたりまで裂けて、大きい二本の牙が白くあらわれていた。薄暗い灯のひかりでこの異形のものを見せられたときに、五十を越えている喜右衛門も一途にあっとおびえて、半分は夢中でそこに倒れてしまった。
暫くして、ようやく人心地がつくと、その枕元には三十五六の用人らしい男が坐っていた。かれは小声で訊いた。
「なにか見たか」
喜右衛門はあまりの恐ろしさに、すぐには返事が出来なかった。用人はそれを察したようにうなずいた。
「また出たか。なにを隠そう、この屋敷には時々に不思議のことがある。