Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
なんちしんじゅう
南地心中
泉 鏡花
Leggi 南地心中 (なんちしんじゅう) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 39.205 caratteri · 79 schermate
丸官は掌を握った。
多一の声は凜々として、
「しもにんにんの宝の中に――火取る玉、水取る玉……イヤア、」
と一つ掛けた声が、たちまち切なそうに掠れた時よ。
(ハオ、イヤア、ハオ、イヤア、)霜夜を且つちる錦葉の音かと、虚空に響いた鼓の掛声。
(コンコンチキチン、コンチキチン、コンチキチン、カラ、タッポッポ)摺鉦入れた後囃子が、遥に交って聞えたは、先駆すでに町を渡って、前囃子の間近な気勢。
が、座を乱すものは一人もなかった。
「船の中には何とお寝るぞ、苫を敷寝に、苫を敷寝に楫枕、楫枕。」
玉を伸べたる脛もめげず、ツト美津は、畳に投げて手枕した。
その時は、別に変った様子もなかった。
多一が次第に、歯も軋むか、と声を絞って、
「葉越しの葉越しの月の影、松の葉越の月見れば、しばし曇りてまた冴ゆる、しばし曇りてまた冴ゆる、しばし曇りてまた冴ゆる……」
ト袖を捲いて、扇子を翳し、胸を反らして熟と仰いだ、美津の瞳は氷れるごとく、瞬もせずると斉しく、笑靨に颯と影がさして、爪立つ足が震えたと思うと、唇をゆがめた皓歯に、莟のような血を噛んだが、烏帽子の紐の乱れかかって、胸に千条の鮮血。