Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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なんちしんじゅう

南地心中

泉 鏡花

Leggi 南地心中 (なんちしんじゅう) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 39.205 caratteri · 79 schermate

Aozora Bunko

「あ、」

と一声して、ばったり倒れる。人目も振も、しどろになって背に縋った。多一の片手の掌も、我が唇を圧余って、血汐は指を溢れ落ちた。

一座わっと立騒ぐ。階子へ遁げて落ちたのさえある。

引仰向けてしっかと抱き、

「美津さん!……二、二人は毒害された、お珊、お珊、御寮人、お珊め、婦!」

二十八

「床几、」

と、前後の屋台の間に、市女の姫の第五人目で、お珊が朗かな声を掛けた。背後に二人、朱の台傘を廂より高々と地摺の黒髪にさしかけたのは、白丁扮装の駕寵人足。並んで、萌黄紗に朱の総結んだ、市女笠を捧げて従ったのは、特にお珊が望んだという、お美津の爺の伝五郎。

印半纏、股引、腹掛けの若いものが、さし心得て、露じとりの地に据えた床几に、お珊は真先に腰を掛けた。が、これは我儘ではない。練ものは、揃って、宗右衛門町のここに休むのが習であった。

屋台の前なる稚児をはじめ、間をものの二間ばかりずつ、真直に取って、十二人が十二の衣、色を勝った南地の芸妓が、揃って、一人ずつ皆床几に掛かる。

台傘の朱は、総二階一面軒ごとの緋の毛氈に、色映交わして、千本植えたる桜の梢、廊の空に咲かかる。