Classici giapponesi con furigana
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かわいいやま
可愛い山
石川 欣一
Leggi 可愛い山 (かわいいやま) di 石川 欣一 (いしかわきんいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 98.791 caratteri · 196 schermate
二人は当然その針金の終りにいる私に気がつく。私は右手を上にあげて挨拶した。和服の人は腰をかがめた。
見ていると北沢が、籠渡しの板に乗った。破損して用をなさぬと聞いていたが、これで見ると役に立つかも知れぬ。私は、「占めたぞ!」と思った。籠渡しが使用出来さえすれば、昨日のようないやな路を通らなくても済む。北沢はブランブランと針金を伝い始めた。長い針金が、重みにつれてさがる。板はスラスラと四、五間河の中央へ近づく。和服の人は何か言いながら、盛に縄を繰り出す。
そのうちに、バッタリ板がとまって了った。どうやらちっとも動かぬらしい。と、向う岸の人が縄を手ぐり込む。北沢は両手を横に振って見せる。右手をあげて、こちら岸の崖を指し、ずうっと下の方へ動かす。籠渡しは駄目だから、崖をへずって下流の吊り橋を渡って来いという信号なのであろう。二、三度腰をかがめたと思うと北沢は狭い河原へ飛び下りた。そしてスタスタと下って行く。和服の人は上の路を、小舎の方へ歩く。
小舎に帰って、まだ眠っている慎太郎さんを起した。籠渡しの一件を話している所へ北沢が帰って来た。彼等山男は、七、八貫の荷を背負って我々と一緒に歩くのであるから、空身だと飛ぶように早い。