Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ねむのきのかげ

合歓木の蔭

山本 周五郎

Leggi 合歓木の蔭 (ねむのきのかげ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.740 caratteri · 27 schermate

Aozora Bunko

七

奈尾は合歓木の樹蔭へゆき着いた。全身が氷のように冷たくなり、くらくらと眩暈がしそうになった。

「ああやっぱり――」からたちの生垣の向こうで、男の低いささやき声が起こった、「やっぱりあなたは来てくだすった、私がどんなに苦しんだかおわかりでしょうか、どんなに苦しんだか」

七

奈尾はわなわなと身を震わせた。

「わたくしがまいったのは」彼女はけんめいにこう答えた、「ただあなたにお断わりするためだったのです、わたくしこれ以上もう」

「おっしゃらないでください」ささやきは哀願の音をおびた、「私が悪かったのです、私はあの夜どうかしていたのです、あんなことを望んではならないと初めから知っていて、つい愚かな情に負けてしまったのです」

「あなたは間違っていたとお思いですの」

「こんなに美しい恋を」と、ささやき声は歌うような調子になった、「なんのためにこわすことがあるでしょう、あなたはそこにいらっしゃる、私はこうしてここにいます、私が胸にあふれる思いを語るとき、あなたはそこにいて聞いてくださる、――私たちのあいだには現実の壁はあるが、お互いの心を隔てるものはなにもありません」

「ああおっしゃって、おっしゃって」