Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ねむのきのかげ
合歓木の蔭
山本 周五郎
Leggi 合歓木の蔭 (ねむのきのかげ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.740 caratteri · 27 schermate
――お祖母さまに似たのね、気をつけないとその気性はあぶなくってよ。
こう云った叔母の懸念を、あの人はそれ以上によく理解してくれたのだ。――垣根の外のささやきは良人であった。奈尾がそこまで考えたとき、廊下に忍び足の音が聞こえ、良人の寝間へ誰かが入った。
奈尾は震えながら立って、襖を明けた。半三郎がびっくりしたようにこっちを見た。刀は差していないが、明らかにいま帰った姿である、
「――どうした、まだ寝なかったのか」
微笑をうかべた温かい眼である。なにもかも知っている眼だ、奈尾の心のどんな片すみをも知って、しかも柔らかく包んでくれる眼だ。奈尾は頭から足の爪尖まで赤くなるように思い、羞恥と歓びにおののきながら、声をあげて良人の胸へ倒れかかった。
「あなた、……あなた、――」
「そんな声をあげて、向こうへ聞こえるじゃないか」半三郎はそっと妻を抱いた、「どうしたんだ、なにを泣くんだ」
「申し上げてもいいでしょうか」
奈尾は激しく頬を良人の胸へすりつけなかば笑いなかば泣きながらこう云った。
「申し上げてもいいでしょうか、わたくしがあなたをこんなに愛していることを――こんなにこんなに愛しているということを……」