Classici giapponesi con furigana
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めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Leggi 名人地獄 (めいじんじごく) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.286 caratteri · 301 schermate
「へえ、さようでございましょうか?」かこ甚内は疑わしそうに、侍の顔を見守った。
「わしはな、事情を知っているのだ。しかしどうも話しにくい。話したらお前はびっくりして、気を取り乱すに違いない。それが気の毒でいい兼ねる」
「それではもしや兄の身の上に、変事でもあったのではございますまいか?」
甚内はさっと顔色を変えた。
「それそういう顔をする。だからいい悪いといったのだ。……変事があったら何んとする?」
「変事によりけりでございますが、もしや人にでも殺されたのなら、そやつ活かして置きません」
「ふうむ、そうか」と若い侍は、それを聞くと眼をひそめたが、「さては予感があったと見える」
「ええ、予感とおっしゃいますと?」
「お前の兄が何者かに、深い怨みでも受けていて、そやつに殺されはしないかと……」
「飛んでもないことでございます。何んのそんなことがございますものか。兄は善人でございます。よい人間でございます。私と異って穏しくもあり、宿の人達には誰彼となく、可愛がられておりました。……だが、ここにたった一つ……」
「うむ、たった一つ、どうしたな?」
「心配なことがございました」