Classici giapponesi con furigana
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『わがはいはねこである』じょうへん
吾輩は猫である
Leggi 吾輩は猫である (『わがはいはねこである』じょうへん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 322.123 caratteri · 643 schermate
しかし主人の考えでは一年持ち、二年持ち、五年持ち十年持った以上は生涯持たねばならぬと思っているらしい。随分呑気な事である。さてその因縁のある毛布の上へ前申す通り腹這になって何をしているかと思うと両手で出張った顋を支えて、右手の指の股に巻煙草を挟んでいる。ただそれだけである。もっとも彼がフケだらけの頭の裏には宇宙の大真理が火の車のごとく廻転しつつあるかも知れないが、外部から拝見したところでは、そんな事とは夢にも思えない。
煙草の火はだんだん吸口の方へ逼って、一寸ばかり燃え尽した灰の棒がぱたりと毛布の上に落つるのも構わず主人は一生懸命に煙草から立ち上る煙の行末を見詰めている。その煙りは春風に浮きつ沈みつ、流れる輪を幾重にも描いて、紫深き細君の洗髪の根本へ吹き寄せつつある。――おや、細君の事を話しておくはずだった。忘れていた。
細君は主人に尻を向けて――なに失礼な細君だ? 別に失礼な事はないさ。礼も非礼も相互の解釈次第でどうでもなる事だ。主人は平気で細君の尻のところへ頬杖を突き、細君は平気で主人の顔の先へ荘厳なる尻を据えたまでの事で無礼も糸瓜もないのである。