Classici giapponesi con furigana
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『わがはいはねこである』じょうへん
吾輩は猫である
Leggi 吾輩は猫である (『わがはいはねこである』じょうへん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 322.123 caratteri · 643 schermate
十
て覚えずひやっとした事さえある。怖い事だ。当夜主人の頭のなかに起った以上の思想もそんな訳合で幸にも諸君にご報道する事が出来るように相成ったのは吾輩の大に栄誉とするところである。但し主人は「何が何だか分らなくなった」まで考えてそのあとはぐうぐう寝てしまったのである、あすになれば何をどこまで考えたかまるで忘れてしまうに違ない。向後もし主人が気狂について考える事があるとすれば、もう一返出直して頭から考え始めなければならぬ。そうすると果してこんな径路を取って、こんな風に「何が何だか分らなくなる」かどうだか保証出来ない。しかし何返考え直しても、何条の径路をとって進もうとも、ついに「何が何だか分らなくなる」だけはたしかである。
十
「あなた、もう七時ですよ」と襖越しに細君が声を掛けた。主人は眼がさめているのだか、寝ているのだか、向うむきになったぎり返事もしない。返事をしないのはこの男の癖である。ぜひ何とか口を切らなければならない時はうんと云う。このうんも容易な事では出てこない。人間も返事がうるさくなるくらい無精になると、どことなく趣があるが、こんな人に限って女に好かれた試しがない。