Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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わし

和紙

東野辺 薫

Leggi 和紙 (わし) di 東野辺 薫 (とうのべかおる) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 35.557 caratteri · 70 schermate

Aozora Bunko

そんなのに負けてなるものかという母の気持であろうから、やがて喜古の家からも、母の手で軍需紙が納まることになるであろう。それこそ安心して征けるという意味の言葉でも、或いは母はききたいのではあるまいかと、ふと思いつくのであったがそれを口にするのも何となく気恥しく、ついさりげない言葉になった。

「だがなお母さ、あんまり無理はしねえことだでなん。」

「ん、おらは大丈夫よ。兄ちゃこそ気をつけろや。」

パルプを解く槽のあたりに眼をやると、そこに叢るとうに盛りを過ぎて萎えしぼんだ黄水仙が、少し出て来た風に重く揺れている。

「何てたって大戦争だでなん、今度こそ俺の帰ることなんど、決して当てにしねえように……惣吉にしろ、よしの繁治君にしろ……お母さとしてはそこまでのことをなん……生活のことはよしがうまくやるべから……どうだことが起ってもなん、いいかや、お母さ?」

わかってるともと、おときの眼はやはり真直ぐに向けられていた。

「これからどうだことがあったって……兄ちゃの前だがな、三つ骨が並んで来たって、お母さは決して動顛しねえでな。」

「んなら俺も安心した。」

言えなかった言葉がはじめてすらすらと滑り出た――。