Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あづまばし

問はずがたり・吾妻橋 他十六篇

永井 荷風

Leggi 問はずがたり・吾妻橋 他十六篇 (あづまばし) di 永井 荷風 (ながいかふう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 75.586 caratteri · 159 schermate

Aozora Bunko

しかるに誰一人、立ってわれわれの前途を指さし示すものはない。その人らしく見えるものは、昨日まで勝たざる「勝利」のためにわれわれを欺き、われわれを死地に陥らしめた悪魔の、衣裳だけを着換えて来たものらしく思われる。

われわれの耳にする人の声は果してわれわれを救う目標となすに足りるであろうか。昨日は戦いの為めに、今日は翻って平和の為に奔馳する人の呼ぶ声は、己れを取巻く仲間だけのものを呼集めて、平和の賜物を壟断しようとするためかも知れない。

武器の優劣は何人の目にも見える勝敗の原因である。隠れたものは尋ねにくい。日毎にその言論と行動とを取替える人達の情操の如きも、隠れたる勝敗の原因とまた全く関係がないとも言われまい。正義観念の確立は民族の光栄を守る強力の武器である。これ無きところに平和の基礎は置き得ぬであろう。

正義の観念は何に依って養われるか。一たび養い得るも、時あればまたこれを失うことがあるだろう。百年のむかし亜墨利加の船は相模の浜辺に来て江戸の都を脅した。当時の政治家は国民の一人をさえ傷けず、しかもまた名実ともに、敗衂亡国の汚名から国を救った。今日の事態は全くそれと相反している。