Classici giapponesi con furigana
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かいそうろく
回想録
高村 光太郎
Leggi 回想録 (かいそうろく) di 高村 光太郎 (たかむらこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 35.774 caratteri · 71 schermate
丁度南方の土人の生活など今でもそうだろうと思うけれど、夜になると、あらゆる魑魅魍魎が一杯になった一種別の世界に入るような気がして、非常に恐ろしかった。子供の時を思うと、何だか世の中が暗かった気がして、一種の暗い世界が頭の中に出て来る。私は子供の時、変な幻想の世界の中に生きていたようであった。そして、朝になると本当によかったと思うことが度々であった。よく庭を一杯に籠めた朝靄に段々明るく陽が射して来る工合が何とも言えないいい気持であった。私の詩などにも靄が屡々出て来るが、私は子供の時分、靄というものに非常に敏感で、どうして大人にはこんなに美しいものが解らないのだろうと思ったものだった。
昼間は平気で、始終谷中の墓地の中で遊んだ。彼処は江戸時代に計画的に設計された天王寺の入口なので、考えてよく出来ている。そこの茶屋の子供が同級生だったので尚更よく遊びに行ったわけだが、以前は彼処の茶屋は非常に贅沢な所で、大奥の女中などが出入りしていた。外観はつまらないが、中は贅沢なもので、抹香臭いのと同時に変に麝香臭い所であった。墓地は今行ってみると格別のことはないけれど、その頃は大層広く思えたもので、其処には土手があって実に草の豊富な所であった。