Classici giapponesi con furigana
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あかげっと しなあちこち
国枝史郎歴史小説傑作選
国枝 史郎
Leggi 国枝史郎歴史小説傑作選 (あかげっと しなあちこち) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 59.334 caratteri · 121 schermate
形が素晴らしく貴族的で、自動車が今日のように発達し猛威を揮わなかった頃に、日本に於ても故大隈公だの伊藤公だのが乗り廻していたようなああいう形の馬車なのだ。その馬車が実に豊富に大連では使用されてい、そうして安価なのだ。安価というよりも出鱈目なのだ。その賃金仕払いぶりがさ。と云うのは十銭でも二十銭でも乃至は五銭でもいい、それだけやれば大連市中何処へでも運んでくれるのだよ。馭者は全部支那人だ。車夫が全部支那人である如くにね。
カパ、カパ、カパ! 蹄の音だ! 洵に軽快なのだ。
ヒューッ、ヒューッ!
馭者の揮う鞭の音を!
実に威勢がいいのだ。
この馬車に乗っていると、何んだか自分が大公殿下にでもなったような気がするよ。
さて、その馬車にボンベイの帰りに乗ったと思いたまえ。
僕達をこの馬車へ乗せる可く、馭者は最初、
「自動車より速く駛って行く馬車! お乗りなさい」と宣言したものだ。
そこで僕達は乗ったんだが、乗って見ると何うだろう、自動車より速いどころの騒ぎではなく、他の何の馬車よりも遅く、後からやって来る馬車にドンドン追抜かれるのだ。そこで僕達は怒って了って「おい、どうしたんだ! 先刻の宣言とは大分懸値があるじゃアないか!」