Classici giapponesi con furigana
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じごくふうけい
地獄風景
江戸川 乱歩
Leggi 地獄風景 (じごくふうけい) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 53.774 caratteri · 108 schermate
ハタハタ、ハタハタ、足音ばかりだ。
「大野さーん」
耐まり兼ねて思わず大声を上げた。
しかし、相手はやっぱり答えない。黙々として走っている。
「オヤ変だぞ。アア、ひょっとしたら……」
ギョクンと心臓が喉の辺まで飛上った。あの足音の主こそ、若しや恐ろしい人殺しではあるまいか。そうだ。きっとそうだ。こんなに呼んでも答えぬのは、それに極まっている。
折枝は怖さに一層足を早めた。喉がひからびて、心臓が破れ相に鼓動する。
行手に急な曲り角があった。折枝はもう無我夢中でその角を曲った。
と同時に、五六間向うの同じ様な曲り角を、ヒョイと飛び出した奴がある。
「アレエ……」
我にもあらず、業々しい悲鳴を上げて、折枝はその場に立ちすくんだ。
先方も驚いたらしい。ハッと思う間に、忽ち姿を隠してしまった。
確に大野さんではなかった。大野さんが折枝の姿を見て逃出す筈はないからだ。では今のは何者であったか。残念ながら、折枝はそれを見極めるひまがなかった。咄嗟の場合着衣の色さえ気附かなかった。だが、女ではない。ズボンをはいていた。そして、非常に小柄な男であった。恐らく女の折枝よりも背が低かった。