Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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じょうちゅうのしも

城中の霜

山本 周五郎

Leggi 城中の霜 (じょうちゅうのしも) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.828 caratteri · 26 schermate

Aozora Bunko

三

「橋本左内にゆかりのある者だと申します」

三

左内ゆかりの者だと聞いて、穆清は直ぐ客間へ通らせ、自分も支度を改めて出ていった。客は二十ほどの娘だった。髪かたちで武家の者だということは直ぐ分る、やや浅黒い頬の凛と緊った、紅をさしたように紅い小さな唇許に、控えめながら勝気らしさの表われている、どこか寂しい顔だちである……彼女は福井藩士、喜多勘蔵の二女香苗と名乗った。

「それで、お訪ねの用件は」

「まことに不躾なお願いでございますが、このたび左内が遠島の御裁きを改められ、死罪となりましたに就き、どのような仔細がございましたものか、また……死に際のことなどお伺い申したいと存じまして」

「どうしてそれをこちらへ訊きにまいったのか」

「こなたさまならばお明かし下さるであろうと、さる方より教えられましたので」

穆清は二三の人物を空に描いたが、おそらく石出直胤であろうと思った。

「して、おもとは左内どのとは」

「また従兄妹に当っております」

そう云ってふと伏せた眼許に、陽炎のようなものがはしるのを穆清は見た。それはきわめて微かな、眼に見えたというより、直感に触れた程度のものではあったけれど、穆清はふと胸をしめつけられるように思った。