Classici giapponesi con furigana
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つぼ
壺
山本 周五郎
Leggi 壺 (つぼ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 16.624 caratteri · 34 schermate
「こなたさまはそうごらんなすった、こなたさまはな……」「信じられぬか、もし信じられぬならばうしろからおれを打ってみろ」又右衛門はふり向きもせずに云った、「……ここから宿まで、いつでもよい打ちこんでみろ」七郎次はなにをというように、きらりと眼を光らせた。どちらかというと小柄な固ぶとりのからだがぎゅんと緊り、木刀を握る手に力がこもった。又右衛門は平然と坂を下りる、ゆったりとした足どりだしかくべつ身がまえをするようすもない、どこもかもあけ放しで、打とうとさえすれば思うところへ打ちこめそうだった。今だという瞬間が絶えず眼前にある、……七郎次は木刀をとり直した、呼吸をはかった、けれど幾たびも「今だ」と思いながらどうしても打ちこむことができない、そのうちにこっちの息がきれはじめ、ふつふつと全身に冷汗がふきだした、すきだらけとみえたうしろ姿が、いつか大きく、ひじょうな重量をもってのしかかり、ともすれば圧し潰されそうな感じさえする、七郎次は坂を下りきったところで立ち止った、もううしろから跟いてゆく気力もなくなったのだ。又右衛門はかれのことなど忘れてしまった