Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ゆうやけがうすれて

夕焼けがうすれて

小川 未明

Leggi 夕焼けがうすれて (ゆうやけがうすれて) di 小川 未明 (おがわみめい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 3316 caratteri · 7 schermate

Aozora Bunko

汽笛が鳴って、工場の門をでるころには、日は西の山へ入るのでありました。ふと、達夫は歩きながら、

「僕のお父さんは、もう帰ってこないのだ。」と、頭にこんなことが思い浮かぶと、いつしかみんなからおくれて、自分は、ひとりぼんやりと、橋の上に立っていました。

もはや通る人もありません。水は海の方へ向かって流れています。広告燈の赤い光が、川水のおもてに映っていました。

「いつか、お父さんに海へつれていってもらった。帰りは、暗くなった。そして、電車の窓から、あの広告燈が見えたっけ、あのときは楽しかったなあ。」

学生服を着た少年の目から、熱い涙がながれました。つねに彼はほがらかだったのです。お父さんは、お国のために戦って、死んだのだ。そして英霊は永久に生きていて、自分たちを見守っていてくださるのだ。だからさびしくないと信じていたのでした。しかるに、どうしたのか、今日は、ばかにお父さんのことが思い出されてなつかしかったのです。

「もし、生きていらして、あの小山くんのお父さんみたいに、凱旋なさったらなあ。」と、考えると、思っただけで、飛びたつような気がしました。

ちょうど、このとき、灰色の影が、銃をかついで、あちらから橋を渡って、足音をたてずに、きかかりました。