Classici giapponesi con furigana
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よるのくつ
夜の靴
横光 利一
Leggi 夜の靴 (よるのくつ) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 107.056 caratteri · 213 schermate
初めは冗談かと私は思って黙っていると、意外に真面目な眼差しで彼は問いつめ、じっと視線を放そうとしなかった。
「実は僕もその方でね。」と私は苦笑した。
参右衛門は酒代で財を潰した自分自身の過去に、少しも後悔していなかった。彼は思うことを実行してみたのである。そして、来るべきことに突きあたったその底から、鋭い表情を上げているのだ。しかし、久左衛門は彼とは反対だった。あるとき、彼は私に、
「何というても金がなければ駄目なもんだ。」とひと言洩したことがある。これも自分の思うことを実行してみて、結果はそのままに現れて来たのだ。
この久左衛門と参右衛門が、まったく地位の転倒した別家と本家の関係にあり、それも三間の空地をへだてた隣家で、酒を飲み交している場では、定めし酒乱の殴打はなみなみならぬ響きが籠っていたことだろう。
「おれと参右衛門と仲が悪うなると、村のものは喜ぶ。仲が戻ると、いやそうな顔をする。この頃は参右衛門も、おれのいう通りになるので、村のものには面白うないのじゃ。はははは。」と久左衛門は眼尻を細めて笑った。一度も激したことのないような笑顔である。
八月――日