Classici giapponesi con furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Leggi 夜明け前 (よあけまえ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 205.629 caratteri · 408 schermate
ひょっとすると、これはお洗濯するものじゃないかもしれないね。」
「でも、わたしは初めてこんなものを見ました。おばあさんに一つ分けていただいて、馬籠の方へも持って行って見せましょう。」
とお民が言う。
「そいつは、よした方がいい。」
寿平次は兄らしい調子で妹を押しとどめた。
文久元年の六月を迎えるころで、さかんな排外熱は全国の人の心を煽り立てるばかりであった。その年の五月には水戸藩浪士らによって、江戸高輪東禅寺にあるイギリス公使館の襲撃さえ行なわれたとの報知もある。その時、水戸側で三人は闘死し、一人は縛に就き、三人は品川で自刃したという。東禅寺の衛兵で死傷するものが十四人もあり、一人の書記と長崎領事とは傷ついたともいう。これほど攘夷の声も険しくなって来ている。どうして飯田の商人がくれた横浜土産の一つでも、うっかり家の外へは持ち出せなかった。
お民が馬籠をさして帰って行く日には、寿平次も半蔵の父に用事があると言って、妹を送りながら一緒に行くことになった。彼には伊那助郷の願書の件で、吉左衛門の調印を求める必要があった。野尻、三留野はすでに調印を終わり、残るところは馬籠の庄屋のみとなったからで。