Classici giapponesi con furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Leggi 夜明け前 (よあけまえ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 205.629 caratteri · 408 schermate
「大草仙蔵?」
「旦那にお目にかかればわかると言って、囲炉裏ばたの入り口の方においでたぞなし。」
不思議に思って半蔵は出て見た。京都方面で奔走していると聞いた平田同門の一人が、着流しに雪駄ばきで、入り口の土間のところに立っていた。大草仙蔵とは変名で、実は先輩の暮田正香であった。
「青山君、君にお願いがあって来ました。」
と客は言ったが、周囲に気を兼ねてすぐに切り出そうともしない。この先輩は歩き疲れたというふうで、上がり端のところに腰をおろした。ちょうど囲炉裏の方には人もいないのを見すまし、土間の壁の上に高く造りつけてある鶏の鳥屋まで見上げて、それから切り出した。
「実は、今、中津川から歩いて来たところです。君のお友だちの浅見(景蔵)君はお留守ですが、ゆうべはあそこの家に泊めてもらいました。青山君、こんなにおそく上がって御迷惑かもしれませんが、今夜一晩御厄介になれますまいか。青山君はまだわたしたちのことを何もお聞きになりますまい。」
「しばらく景蔵さんからも便りがありませんから。」
「わたしはこれから伊那の方へ行って身を隠すつもりです。」
客の言葉は短い。事情もよく半蔵にはわからない。