Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Leggi 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 268.946 caratteri · 520 schermate

Aozora Bunko

仏頂寺はそれを見ると、相当に仏頂面をほぐして、草を褥にどっかと腰を卸したところへ、如才なく丸山勇仙が猪口をつきつけました。

「松茸の土瓶蒸で一杯やるかな――」

仏頂寺が仏頂面に涎を流してそれを受ける。

かくして二人が、土瓶蒸を肴に、とりあえず一杯ずつの毒味を試みている。

旅に慣れた彼等は、即席の調理方に要領を得ている。小鳥峠の上を会席の場として選定したこともまた、ところに応ずの要領を得ている。

かくて彼等は、飲み、松茸蒸を味わいつつ、ようやく興が深くなって行くはずなのに、今日はどうしたものか、仏頂寺が至極浮かない。いつもそう浮き立ってばかりいる男ではないが、今日は特に一杯盃をふくむごとに、一杯ずつ滅入って行くような気色がいぶかしいのです。

「丸山――」

「何だい」

「きょうの酒は、また一段と旨いし、松茸蒸も頬っぺたが落ちそうに旨いけれども、どうも、おれのこの胸が、この心が、ちっとも浮いて来ないわい」

「ふーむ、悪いものを見せたからなあ。色縮緬の女物なんていうのは、仏頂寺には虫の毒なんだ」

「いや、それじゃないなあ」

「は、は、は、何か別にお気もじさまな一件があるのかい」