Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠3
中里 介山
Leggi 大菩薩峠3 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 214.131 caratteri · 423 schermate
七
「なるほど……しかし、お前も今は主人持ち、ここで甲府まで出かけるというわけにはゆくまいからな」
「行きますとも、甲府まででもどこまででも参りますとも、ほかのこととは違いますから、わたしはどんなにしても、こちらのお暇をいただいて甲府へ参ります」
「もし暇が出なかったらお前はどうする」
「お暇が出なければ……わたしはお邸を逃げ出してもよろしうございます」
「なるほど……」
七兵衛が暫く考えていましたが、
「お前がそこまで了簡をきめてくれたなら、俺はひとつお前を連れて甲府へ乗り込むことにしてみよう。素直にお暇の出ないことは知れているから、今夜、わしが人目に立たぬようにお前のところへ迎いに行く、それまでに身の廻りの物を用意して待っているがいい。それからお邸の間取り、お前の部屋の案内を聞かしておいてもらいたい」
そこで七兵衛はお松から、邸の内部の模様をややくわしく聞き取って、二人はこの店を別れました。
七
お松は七兵衛と別れて、越後屋の奥座敷を出て、薩州邸の長い土塀をグルリと廻って徳島藩の裏門を入りました。
その晩、お松はいろいろの思いで手近のものを用意して、日が暮れるのを待ち兼ね、日が暮れると、夜の更けるのを待ち兼ねていました。