Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

Leggi 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 264.133 caratteri · 524 schermate

Aozora Bunko

いよいよ前へ来た時に、木蔭から覗いて見れば、それは全体が人ではなく、二挺の駕籠の廻りは数人の人で、その前後は三個の提灯でありました。

ははあ、これはお祭の帰りではない、婚礼かとも思いました。婚礼にしては、あんまり粛やかに過ぎる。さては病人を甲府の町へ連れて行ってその帰りであろうと兵馬は、そうも思って見ているうちに、ふと提灯のしるしに眼がとまりました。

前に下り藤の紋が大きく書いてありました。下り藤は自分の家と同じ紋であるから兵馬は、なんの気なしにそれを見ると、その下に小泉と記してありました。はっと思ってその裏を見ると「八幡村」という文字が弓張の蔭になっています。

八幡村で小泉といえば、わが嫂の実家ではないか。嫂とは誰、一時は兄文之丞の妻であったお浜のこと――ああ、その駕籠の中の主は誰人。兵馬はそれがために胸を打たれました。

お浜は死んでしまったけれども、その母なる人も、兄なる人も、兄の嫁なる人も、その夫婦の間に出来た子供までも兵馬は知っているのであります。

裏街道を越えてその家まで遊びに来た昔の記憶も残れば、ことに嫂のお浜が、自分の来ることを喜んで、手ずから柿の実などを折ってくれた優しいことの思い出も、忘れようとして忘れられません。