Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
Leggi 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 264.133 caratteri · 524 schermate
心配そうに見ていたお君は、
「殿様」
やや大きい声でふたたび呼んだ時に、能登守は眼を覚まして、
「あ、お前か」
と言って莞爾として、敢えて咎めることをしませんでした。お君が給仕としてこの室に入ることを許されている唯一の者であります。
「よく、お寝っておいであそばしました」
お君はこう言いました。
「あ、ついうとうとと寝入ってしまった」
能登守は椅子に埋めた身体を、少しばかり起そうとしました。
「あの、お客様でございますが」
とお君が言いました。
「客?」
能登守は小首を傾げて、
「言うておいた通り、この仕事をはじめてからは、来客に会いたくない」
「強ってお目通りを致したいと、そのお客様からのお願いでございます」
「それは誰じゃ」
「女の方でございます」
「女の……」
「はい、神尾主膳様の御別家のお方と申すことでございまする」
「ははあ」
駒井能登守は、直ぐにそれと頷くところのものがありましたが、
「どのような用向か知らん、わしは会いたくない、誰か会ってもらいたい」
会うことを多少迷惑がるようであります。
「それでも殿様に、直にお目通りを致さねば申し上げられないことなのだそうでございます。