Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

Leggi 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.120 caratteri · 516 schermate

Aozora Bunko

その人は馬を駆ってやや暫らく行った時に、途中で行会った百姓男を呼び留めて、

「これこれ」

「はい」

「お前は王子の方へ行くと見えるな、気の毒ながらこれを扇屋まで届けてもらいたいものじゃ」

「へえへえ、よろしうございますとも」

頼む人が身分ありげな人であって、頼む言葉も丁寧であったから、頼まれた百姓は恐れ入って承知をしました。幸い、この百姓は扇屋の方へ行くべきついでの百姓でありました。馬上の人が取り出したのは一封の手紙らしくあります。

「ただこの手紙を持って扇屋へ立寄り、名宛の人に渡してもらえばよろしい、名宛の人がおらぬ時は、預けておいてよろしい、返事は要らぬ、これは些少ながらのお礼の印」

「どう致しまして、ほんのついででございますから、こんな物をいただいては済みましねえでございます」

馬上の人はお礼の寸志として、いくらかの金を与えようとしたのを、律義な百姓は容易に受けようとしませんでした。それを強いて取らせると、百姓は幾度も幾度も繰返してお礼を言い、その手紙を受取り、金の方はいただいていいのだか悪いのだか、まだわからないような面をしているうちに馬上の人は、