Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Leggi 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.120 caratteri · 516 schermate
その途端に、兵馬はようやく感づきました。これはいつぞや竜王へ行く時、畑の中の木の上で、犬に逐いかけられて狼狽していた男。
その男の名前も金助と呼ぶことまで兵馬は覚えていました。この男を捉まえてみると面白かろう。
「金助どの」
「おや、どなたでございます」
振返って金助は、怪しい眼を闇の中に光らせました。
「拙者じゃ」
兵馬が、わざと名乗らないでなれなれしく傍へ寄ると、
「ああ、鈴木様の御次男様でございましたね、徽典館へおいでになるのでございますか、たいそう御勉強でございますね、お若いうちは御勉強をなさらなくてはいけません」
金助は心得面にこんなことを言って、委細自分で呑込んでしまったものらしく、兵馬はかえってそれがいいと思ったから、自分も鈴木様の御次男様とやらになりすまして、
「金助どの、昨夜の火事は驚いたでござろうな」
「驚きましたにもなんにも、あんなところへ赤い風が吹いて来ようとは思いませんからな」
「お前の家には、別に怪我もなかったか」
「へえ、有難うございます、私の家なんぞには怪我なんぞはございません、よし怪我があってみたところで、私なんぞは知ったことじゃあございません」