Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Leggi 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.120 caratteri · 516 schermate
神尾はそれを見ると、ああ、この男はここで自殺したのかと思いました。
「これ、気を確かに持て」
近寄ってその背に手をかけた時に、それは決して自殺したものでないことを知りました。そこに迸っている夥しい血汐は、その鼻口から吐いたものであって、刃を己れの身に当てて切って出したものでないことは直ぐにわかりました。
「うむ、神尾殿」
「病気か、苦しいか」
竜之助の横面を見ると、死人のように蒼ざめていました。
「水を飲ましてくれ」
「うむ、水か、そら、水を飲め、しっかりと気を持たなくてはいかん」
「いや、もう大丈夫」
竜之助は落着いたらしいが、神尾は焦立って、
「これ、貴様たちは何をしているのだ、早く医者を呼ばんか、医者を呼べ」
「医者はよろしい、医者を呼ぶには及ばない」
と苦しい中から竜之助は、医者を呼ぶことを断わります。
「しかし……」
「医者は要らぬ、ただ、静かなところで暫く休ませてもらいたい、誰も来ないところへ入れて置いてくれさえすれば、やがて癒る」
竜之助の望む通り静かな一室へうつされ、医者も固く断わるから、強いて呼ぶこともしませんでした。花魁も禿も誰も来ない中に、ゆっくりと休みたいということであったから、これもその意に任せました。