Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Leggi 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.120 caratteri · 516 schermate
ただあの時よりは一層、足許が危なく、屏風から手を放した時は倒れそうに見えました。それでもよろよろとして、細目につけてあった行燈にも、炉端に置いてあった煙草盆にも突き当らず、さぐりさぐり米友の枕許を通り越して、蒲団の一端を跨ごうとした途端に、
「ウーン」
と言って寝像の悪い米友は足を出しました。その足を避けようとした竜之助は、よろよろとよろめいて、行燈に片手をかけました。さては眼を醒ましたかと思った米友は、案外にも眼を醒ましたのではなく、やはりよく寝ているのであります。
行燈のところで、米友の寝息をうかがうらしい竜之助は、左の親指を刀の鍔にあてがって立っています。もし米友が狸寝入りをしているものならば、竜之助はこれを斬ってしまうつもりでしょう。幸いにして米友は熟睡しています。足を一本、蒲団の外へはみ出しても知らないくらいによく寝ています。
ほんとに米友がこの場合によく寝ていることは幸いでした。それは米友のために幸いであるのみならず、竜之助のためにも幸いです。いったい、竜之助は米友を米友と知らないでいるように、米友もまた竜之助を竜之助と知らないでいるのであります。