Classici giapponesi con furigana
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てんぽうのひこうじゅつ
天保の飛行術
野村 胡堂
Leggi 天保の飛行術 (てんぽうのひこうじゅつ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.024 caratteri · 28 schermate
お通の述懐は、清作の驚きにも構わず、思うがままに飛躍するのでした。
「お通さん、その山手形を下さるのは有難いが、今の私にはお礼のしようも無い」
「ホ、ホ、そんな事を、――お礼なんか欲しさに、加州の企みの裏を掻くものですか、尤も、私にも一つお頼みがありますが」
「?」
清作は固唾を呑みました。
「外ではありませんが、――此処から一里余り登った御前平に、不思議な作事小屋があって、六十位の年寄が一人淋しく暮らして居ります。――作事小屋は岩の間に挟まれ、小松の中に隠れて、里からは見えないけれど、一本道だから、迷いようはありません、その年寄に、この手紙を渡しては下さいませんか。そして、此の山の中で見たこと聴いたことを、一切他言しないと、今此処で神仏に誓言して下さいな」
お通は屹となりました。百の媚が掻き消されて、印度の尊い仏画にあるような、不思議に厳しい表情になります。
「その手紙をお年寄に渡すことは受け合いましょう、が」
「?」
「この山で見聞したことを、他言しないという誓言だけは勘弁して下さい、――お通さんを騙して宜い加減な約束をするのは易いが、それでは恩になったお前さんを売るようで、私の心が済まない」