Classici giapponesi con furigana
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「ダブックウ」ひょうりゅうき
「太平洋漏水孔」漂流記
小栗 虫太郎
Leggi 「太平洋漏水孔」漂流記 (「ダブックウ」ひょうりゅうき) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.264 caratteri · 37 schermate
最初に、この子の仮りの父となって暮すこと一月。いま『太平洋漏水孔』中にある独逸人キューネより――とあります」
太平洋漏水孔――たった一字だががんと殴られた感じだ。しかも、みればこの子は日本人のようだし、どうして、あの魔海に入りどうして抜けでたのか。しばらく全員は阿呆のように、じりじりと照る烈日のしたで動かない。
やがて、その子は手当をされ船室で寝かされた。折竹は、いつまでも醒めない悪夢のあとのような気持、フラフラわれともなく檣舷へのぼって、いま左舷に過ぎようとする「太平洋漏水孔」をながめていた。
斜めの海、海の傾斜。とうてい、夢にも思えなかったものが、現実として、眼のまえにある。そこには、幾重にも海水が盛りあがり、まっ蒼に筋だっている。その大漏斗をまく渦紋のあいだには、暗礁がたてるまっ白な飛沫。しかし、それはただ眼先だけのことで、はや四、五鏈先はぼうっと曇っている。そして、煙霧のかなたからごうごうと轟いてくるのが、「太平洋漏水孔」の渦芯の哮りか……。
折竹は、それをキューネの絶叫のように聞きながら、魔海からの通信を読みはじめたのである。
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