Classici giapponesi con furigana
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「ダブックウ」ひょうりゅうき
「太平洋漏水孔」漂流記
小栗 虫太郎
Leggi 「太平洋漏水孔」漂流記 (「ダブックウ」ひょうりゅうき) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.264 caratteri · 37 schermate
環礁のようだが色もちがい、広茫水平線をふさぐに拘わらず、一本の椰子もない。
「あれかね、あれは有名な『太平洋漏水孔』の渦だよ。環礁のように見えるのは、盛りあがった縁だ。とにかく、はいったら最後二度と出られないという、赤道太平洋のおそろしい魔所なんだ」
その時、船首の辺でけたたましい叫びが起った。一人の水夫が、檣梯の中途でわれ鐘のような声で呶鳴っている。
「おうい、変なものが見えるぞう。右舷八点だ……鳥が、籠みてえなものを引いてゆくが……見えたかよう」
まもなく、その二羽の鰹鳥が射止められた。引きあげられたのは葡萄蔓の籠で、なかを覗いた男がアッといって飛び退いた。裸体の、愛らしい五つばかりの男の子が、呼吸もかすかに昏々とねむっている。なんだ、夢ではないのか。この、ちかくに島とてない赤道下の海を、鳥に引かれながら漂う頑是ない男の子。
と、しばらく全員は酔ったような眼で、暑さも忘れ、じっとその子をながめている。と間もなく、その子の背に手紙が結いつけられてあるのが、見つかった。船長が手にとったが、すぐ折竹にわたし、
「君、ドイツ語のようだね」
「そうです、読みましょうか。