Classici giapponesi con furigana
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「ダブックウ」ひょうりゅうき
「太平洋漏水孔」漂流記
小栗 虫太郎
Leggi 「太平洋漏水孔」漂流記 (「ダブックウ」ひょうりゅうき) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.264 caratteri · 37 schermate
それが、雑貨燐鉱などをはち切ればかりに積んで、いま北東貿易風にのり赤道を越えようとしている。
若人のあこがれ、海のロマンチシズムは帆船生活にある。順風に、十度ほど傾いではしる総帆の疾走。波音と、ブロックの軋めきのほかは何もない南海の夜。仰げば、右に左に弧をえがく上檣帆のあいだに、うつくしい南の眼、赤十字星のまたたき。折竹も、珊瑚礁生物の採集というよりも、むしろこうした雰囲気に魅せられて乗っていたのだ。やがて、北東貿易風がいつとはなしに絶え、船は、聴くだに厭な赤道無風帯に入っていった。
「驚いたですよ、船長」
と折竹もさすがに音をあげた。
「この、補助機関の震動がするあいだは地獄というわけですね。まったく、この蒸し暑さときたら死んじまいたいくらいだ。眼がぽっと霞んで来るし、なにも考えられなくなる。だが、あれ※(感嘆符疑問符、1-8-78)、アッ、ありゃ何だ」
下桁のしたの天幕のかげから、折竹が弾かれたように立ちあがった。そとは、文字どおりの熱霧の海だ。波もうねりもなく濃藍の色も褪せ、ただ天地一塊となって押しつぶすような閃めき。と彼に、左舷四、五十鏈の辺に異様なものが見えるのだ。