Classici giapponesi con furigana
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たろうぼう
太郎坊
幸田 露伴
Leggi 太郎坊 (たろうぼう) di 幸田 露伴 (こうだろはん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7863 caratteri · 16 schermate
この談は汝さえ知らないのだもの誰が知っていよう、ただ太郎坊ばかりが、太郎坊の伝言をした時分のおれをよく知っているものだった。ところでこの太郎坊も今宵を限りにこの世に無いものになってしまった。その娘はもう二十年も昔から、存命えていることやら死んでしもうたことやらも知れぬものになってしまう、わずかに残っていたこの太郎坊も土に帰ってしまう。花やかで美しかった、暖かで燃え立つようだった若い時のすべての物の紀念といえば、ただこの薄禿頭、お恰好の紅絹のようなもの一つとなってしもうたかとおもえば、ははははは、月日というものの働きの今更ながら強いのに感心する。人の一代というものは、思えば不思議のものじゃあ無いか。頭が禿げるまで忘れぬほどに思い込んだことも、一ツ二ツと轄が脱けたり輪が脱れたりして車が亡くなって行くように、だんだん消ゆるに近づくというは、はて恐ろしい月日の力だ。身にも替えまいとまでに慕ったり、浮世を憂いとまでに迷ったり、無い縁は是非もないと悟ったりしたが、まだどこともなく心が惹かされていたその古い友達の太郎坊も今宵は摧けて亡くなれば、恋も起らぬ往時に返った。