Classici giapponesi con furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Leggi 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.902 caratteri · 22 schermate
国主大名――といったところで、それは決して話術の上の誇張ではなく、現に勢州亀山六万石の城主、朝散太夫石川日向守総和は、歌川豊国の門下で、国広と署名した木版美人画を作り、それが今の世にまでも伝わっております。
天保八年というと、まだ水野越前守の粛清嵐も吹き荒ばず、江戸の文化は甘酸っぱく熟れて、淫靡と頽廃と猥雑の限りを尽した異様な瓦斯を発散している時分のことです。
三百大名が武辺者や兵法者を競って抱えたは昔のことで、その頃は両刀を手挟んだ笛の名手、踊りの達人が、大手を振って殿の恩寵を受け、それをまた、不思議とも思わぬほど世人の神経は麻痺しておりました。
浮世絵師の国主大名、石川日向守も、世の流行に漏れず、三人の愛臣を持っておりました。一人は彫物の名人で六郷左京、一人は笛の名手で名川采女、残る一人は小唄と鼓の上手で、伊東甚三郎といい負けず劣らず、殿の御機嫌を取結んで、その恩寵を誇り合っていたのです。
「六郷左京はおるか」
「ハッ、これに控えております」
或日日向守は、腰巾着のような三人侍のうち、彫物の左京を御前に召し出しました。日向守は先代主殿頭の養子でその時三十六、左京は三人侍のうちでは一番年嵩のこれは二十八歳でしたが、生れ乍らの美男で、玉を刻んだような冷澄な顔立ちや温雅な立い振舞、程のよい身扮の好みなど、江戸