Classici giapponesi con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
奇譚 銭形平次 「銭形平次捕物控」傑作選
野村 胡堂
Leggi 奇譚 銭形平次 「銭形平次捕物控」傑作選 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 31.249 caratteri · 62 schermate
五
「俺が預かってあるよ。これだ、――お滝の背中に突ったっていたんだ」
弁慶の小助は、懐中からクルクルと紙に包んだ、細身の短刀を出して見せました。朱塗に螺鈿を施した美しい鞘まで添えてありますが、御殿勤めの女中などの持った品らしく、脂が乗って曇ってはおりますが、作はなかなか良いものです。
「鞘はどこにあったんだ」
「お滝の死骸の側に落ちていたそうだよ」
弁慶の小助は答えてくれます。
「ところでこの短刀に見覚えはないのか」
平次は辰五郎の酔顔の前に、その斑々たる得物を突きつけました。
「知ってるわけはねえ」
「お滝の物じゃあるまいな」
「そんな物を持っていれば、とうの昔に質に置いて呑むよ」
手のつけようはありません。
五
お滝の殺された路地を見て、近所の人にも詳しく当ってみましたが、昨夜酉刻半(七時)少し過ぎ、火の番の拍子木が通って間もなく、悲鳴を聞いて近所の人が駆けつけると、湯帰りらしいお滝が、ドブ板を枕にして、紅に染んで死んでいたというだけのことです。
月がなかったので、誰も曲者の姿を見た者もなく、死骸を発見したのも多勢がいっしょで、一番先に誰が駆けつけたのやら、そんなことは少しもわかりません。