Classici giapponesi con furigana
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おくのうみ
奥の海
久生 十蘭
Leggi 奥の海 (おくのうみ) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.005 caratteri · 26 schermate
「腹を切るのに三日もいらぬ。いますぐ切ろう」
と自若とした顔でいった。
川村孫助は困ったような顔をしていたが、役儀の手前、切るなともいえない。
「飛んだことになったよ。こんなつもりで、お番入をすすめたわけではなかったが……。江戸にいれば御儒者衆の家柄で、寛濶な日々を送れたものを、こんな辺土の浦浜へ流れきて、不法の漁撈に連座し、つまらなく腹を切るというのは」
「辺土々々といわれるが、手前にとっては、住みよいなつかしい土地であった。どこで死んでもおなじことだ。すぐやりますから、ご検分ねがう」
と脇差をとりあげた。川村孫助は四角に坐りなおして背筋を立てた。
「では検分しよう。潔いことだ……。それにしても、どうしてこんなところへ落ちてこられたのか、かねて不審に思っていた。聞けるものなら、聞いておきたい」
金十郎は笑って答えなかった。