Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おんなごころのつよければ

女心の強ければ

豊島 与志雄

Leggi 女心の強ければ (おんなごころのつよければ) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 47.011 caratteri · 94 schermate

Aozora Bunko

」

「それも、万事はっきりさしておきたいためでしょうよ。」

「古いコートのことなんか、どうでもいいではありませんか。」

「きれいさっぱりという、そのつもりなんでしょうよ。」

「いいえ、そんなことでなく、そのぜんたいのこと、ぜんたいの仕打ちです。」

「ちょっと待って下さい。僕を攻撃なすったって……。僕がしたんじゃありませんよ。」

「あなたには分らないんだわ。そんなら、今日のこと、なぜわたしが東京をいやがったか、すこしも察して下さらないのね。」

長谷川には全くそれは分らなかった。彼は黙っていた。

「わたし、ただ、柿沼から逃げ出してしまいたかったんです。」

「しかし、きっぱりと極りがついたんでしょう。逃げ出すなんて……。」

「いいえ、わたしはすっかり穢れているんです。柿沼の女中だったんです。拭ってもなかなか綺麗になりません。古コートを道に叩きつけて、自分も石に頭をぶっつけて死のうかと思いました。」

酒を飲みながらも、彼女の頬からは血の気が引いてゆくようだった。そして眼が底光りしていた。

長谷川にもようやく、彼女の気持ちが分りかけてきた。分りかけることは、同時に、柿沼という人物に対する反感が高まることだった。