Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

ようちゅう

妖虫

江戸川 乱歩

Leggi 妖虫 (ようちゅう) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 120.290 caratteri · 239 schermate

Aozora Bunko

やがて、そのものは、それと分る程の姿を現わした。二つに折れ曲った関節、ゾッとする程巨大な平家蟹の螯、ガラス板にぴったり吸いついた赤黒い螯、それがワクワクと物を噛む形で開閉しているのだ。

赤い蠍!

アア、夢ではない。夢がそのまま現実となって現われたのだ。悪夢の谺の様に、突如として、信じ難き怪物が、人間程の大蠍が、闇の窓の外に這い寄って来たのだ。

夢ならば醒めることもあろう。だが、現実には全く救いがない。螯の次には、あいつの醜怪な顔が、ソッとこちらを覗き込むに違いない。それから、針の様な毛の生えた全身が、目まぐるしく動く沢山の脚が、醜くひん曲った尻尾が……。

余りの恐怖に、品子の五体のあらゆる機関が活動を停止して、全身が底知れぬ深海へ落込んで行く様に感じられた。青黒い水の層の中を、スーッと沈んで行く。沈むに従って水の層は益々暗くなって行く。そして、遂には文目も分かぬ真の闇にとじこめられてしまった。……彼女は極度の恐怖に気を失ってしまったのだ。

怪しの物

だが、その翌朝、朝の物音と太陽の光とが、彼女の意識を呼び戻した。ふと目を覚ますと、品子は別段の異状もなく、昨夜のままベッドの中に横わっていた。