Classici giapponesi con furigana
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つまのざ
妻の座
壺井 栄
Leggi 妻の座 (つまのざ) di 壺井 栄 (つぼいさかえ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 82.695 caratteri · 165 schermate
「ああ、あ、みろくの世じゃ。仕合せと思うこともなかったけれど、私なんぞたしかに不仕合せとはいえない方かな。」
ミネは両手を仰向けにのばし、うーんとのびをした。いくらのばしてものびきれぬように、そっくりかえってうんうん唸りつづけた。そしていつのまにかねむり、目がさめるともう日は高くなっていた。正子が、これも正子ひとりの宰領で卵を目玉にやいたり、トロロ芋の味噌汁をつくったりして、食卓は日当りの広縁にもち出されていた。食事がすんでもミネたちはそこを動かなかった。お昼がすぎても動きたくなかった。久しぶりに我家へかえったような心地がした。悠吉はちゃぶ台の上で手紙をかき出し、ミネはよみかけの本をもってきて日なたに背をむけた。いつもなら食事がすむとすぐ部屋に引きとりたくなるのに、まるで忘れていた幸福をとりかえしてでもいるようだ。それなら閑子が、この平和をうばっていたとでもいうのか、かわいそうな閑子。だが、今にまた閑子はあの重い空気をかかえて帰ってくるだろう。
考えるともなく考えているミネの耳に、片びっこの下駄の音が聞えてきた。千枝だ! ミネは本を伏せて待ちかまえた。